出産した母親の21%相当が退職:調査結果

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第一生命経済研究所は、8月1日に出産退職の経済損失が1.2兆円になるとニュースリリースを発表しました。

http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/pdf/ldi/2018/news1808.pdf

調査によると、2019年の出生数は94.6万人で、子供を生んで退職した女性を国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向調査」を使って、出産退職をしてしまう人数を計算すると、約20万人となるようです。

この女性が終業継続をしないことに伴う経済損失は、賃金ベースでは6,360億円、名目GDPベースでは1兆1,741億円の経済損失になると試算しました。

出産後の離職率は、第一子が33.9%、第二子が9.1%、第三子が11.0%となっており、出生数に乗じて約20万人が退職したと試算しました。

 

ニュースリリースでは、退職の背景に、仕事と子育て両立を支援する職場の雰囲気の不足・待機自動の問題・子供の病気・夫の意識などがあることに言及しています。

 

また、3歳までは自身で面倒を見たいという意識がある女性の間にも多様な考えがあることに対して、雇用保険の育児休業給付が最長2歳までで終わってしまう着目し、雇用保険給付制度見直しも提案しています。

 

今回は、3歳まで自身で面倒を見た場合の経済損失等を試算していますので、引き続き期待したのは、子供を自身で養育した場合のプラス面が、子供その後に生み出す経済的効果にどのようにプラスの影響があるか、そんなところでしょうか。なかなか興味深いです。

 

 

 

 

有給休暇は年間5日取得義務化へ

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国会で成立した働き方改革法案の解説。今回は、年次有給休暇(以下、有給休暇といいます)。の年間5日取得義務化についてです。

1.改正法の概要

有給休暇を年間10日以上付与している社員対して、5日間については、毎年時季を指定して与えなければならないことになり、労働基準法が改正されます。
これには、罰則規定が付いており、守らない企業には30万円以下の罰金が課せられます。
施行日は2019年4月1日です。

2.現在は付与する日数のみに定めがある

現行において有給休暇は、継続して6か月の間に8割以上勤務した社員に対して、10日を付与しなければならず、その後1年経過する日(この付与する日を以下は、基準日といいます。)に法令で定められた日数を付与することになっています。

社員は、付与された日数の範囲内で実際に取得する日を決めて請求しますので、取得するか否かは社員の判断になっています。社員が年休の取得する日を指定した場合、その年休取得により事業の正常な運営が妨げられるときには、使用者は年休取得を拒否する権利(時季変更権)があります。

または、現在の労働基準法では、労使が協定をしてあらかじめ有給休暇の取得日を割り振る有給休暇の計画的付与制度もあります。

このように取得されている有給休暇は、統計資料(*)によると概ね半分の49.4%が取得されており、取得日数は9日です。よって統計上では現在の取得日数は、改正後に最低でも取得することになる5日を超えていますが、その取得状況には企業や個人間でかなり差があると思われます。

3.改正後は取得する日数が少なくとも5日に

法改正後は、事業主は有給休暇を付与する基準日から1年ごとの期間に各社員に5日間については、いつ取得してもらうか取得する日を指定しなければなりません。ですから、現状で有給休暇の取得率が低い企業でも、5日以上を取得することが実現します。

そして、この条文には、例外的取り扱いが付け加えられており、労働者が自ら取得する時季を指定した場合と、労使協定によって計画的付与制度を使って有給休暇を与えることで5日を超えて取得しているならば、法改正によるところの事業主(会社)が5日間について毎年取得する時季を指定する必要はないとしています。

【施行後の実務】

改正後の規定が具体的に対象になるのは、2019年4月1日です。
いずれかの方法で、年間10日以上付与している社員が5日間以上の取得をするようにしなければなりません。場合によっては就業規則の改定や新たな労使協定が必要になります。
●対象の労働者全員が自主的に5日間以上を取得する
●労使の話し合いで計画的付与制度を使って取得をする
●会社が個人ごとに取得する時季を指定する

法改正までに、企業内の取得状況を調べて、5日の取得に達していない企業は、どのように取得をすすめていくのか検討が必要です。

政府が給与所得者に関する事務の効率化へ

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今朝の日経新聞によると、企業が給与計算や社員の情報をクラウドにアップして、そのデータを行政が使って税や社会保険を決定する仕組みつくりを政府が検討にはいったそうです。

政府は2021年度を目標に企業による税・社会保険料関連の書類の作成や提出を不要にする検討に入った。源泉徴収に必要な税務書類など従業員に関連する書類が対象。企業は給与情報などをクラウドにあげ、行政側がそのデータにアクセスし、手続きを進める形に変える。

 

給与所得者に関連する企業の業務を4月から年間で上げてみると

6月 住民税額徴収額の変更入力
7月 算定基礎届、労働保険料申告
12月 年末調整事務
1月  住民税の給与支払報告書提出

があるわけで、なかなか手がつけてこなかった事務作業の効率化が進みそうです。

入社・退社のデータ、毎月の給与や賞与の支払実績を政府が認定した所定のクラウドにアップすることを想定しているようです。

個別労働紛争の件数

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都道府県労働局及び労働基準監督署では、全国380か所の「総合労働相談コーナー」を設置して、紛争当事者である労働者と事業主のどちらからでも相談を受け付けています。相談者は、労働局長による助言・指導の申し出や、紛争調整委員会によるあっせんの申請をすることができます。また、法制度等に違反の疑いがあるものは、労基署又は公共職業安定所等へ引き継が行われます。

 

もし、労働者側からあっせんの申請があった場合には、あっせんに応じるか否かを選択してその後の対応をすることになります。そうならないように日々の労務管理をされていると思いますが、互いの行き違いなどからこうした紛争が起こってしまうことも想定されます。

20180628

 

厚生労働省が公表した平成29年度の総合労働相談件数は、1,104,758件(前年1,130,741件)です。件数は、ほぼ横ばいでしたが、注目されるのは、相談内容です。相談内容は全体の件数でも、民事上の個別紛争相談の末に助言・指導又はあっせんになった件数におもいても、「いじめ・嫌がらせ」が1番多く、次に「解雇」に関する相談だったようです。

 

また、事例を見ると、「いじめ・嫌がらせ」にかかる助言・指導では、派遣先の上司から「ふざけてんじゃねえぞ」や「お前はこの地域の恥だ」等の人格を否定するような暴言を日常的に受けた例があります。セクハラの定義に入っていると指導助言が行われています。

 

一方で、能力不足を理由に解雇した事例では、労働者は、「前任者からの引継ぎ時間が短く業務内容を教えてくれなかった状況で勤務していた。」と言い、これに対して事業主側は、「労働者は当該業務ができるということで雇用し引継ぎと教育を行ったが能力に達しなかった。」と主張し双方の言い分が違っていたことがあげられています。

労働者と使用者の双方の言い分が違っている事例には、よく出くわします。なかなか難しい問題だと感じています。

 

 

厚生労働省報道資料「平成29年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表します

という資料は、こちらのURLでご覧いただけます。

http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11201250-Roudoukijunkyoku-Roudoujoukenseisakuka/0000213218.pdf

働き方改革法案の労働時間に関する規制の見直し

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政府与党は、本国会で法案の可決を目指しているようです。
そこで、少しずつ改正法案を取り上げてみます。

1.労働時間に関する制度見直し

①時間外労働の上限を労基法に規定

これまでも時間外労働時間の上限については、基準となる数値が公表されていましたが、改正案では上限時間を労働基準法に規定することとになっています。

また、原則の時間外上限時間、臨時的な特別な事情がある場合の法定休日労働も含めた時間数を1年と月単位と複数の月の平均時間を労基法に規定するとしています。

 

時間外労働の上限は 月45時間、年間360時間が原則になります。 
(現在36協定は、1日と、「1か月を超え1年以下の期間」、1年間の3期間で上限を協定するようになってしていた点は、1日と、1か月と、1年の上限時間を協定することになります)

臨時的な特別の事情がある場合は6か月を超えない範囲で上限時間を延長する場合 特別条項付き36協定を結ぶことで限度時間を延長できますが、限度時間は、

時間外労働と休日労働の合計時間上限で、

  単月100時間未満・複数月平均時間月平均80時間・年間720時間になります。

 

以上にも適用除外があって、自動車運転業務、建設事業、医師等については、猶予期間を設けて除外。研究開発業務については、医師の面談指導を設けた上で除外になります。

 

【施行後の実務】
36協定において全期間が平成31年4月1日以降の協定については、変更しなければならない項目がある。

・1日と、1か月と、1年の上限時間で協定する。たとえば1日、6か月、1年の上限で協定しているような事業所もあるが、期間の設定は1日と、1か月と、1年に変更する必要がある。
・特別条項がある36協定は、時間外労働に休日労働を合算した上限以内の時間で協定をする必要がある。

言うまでもありませんが、36協定の時間以内になるように、労務管理をすることが必要です。

 

働き方改革法案の掲載は今後続きます。

身体障害者の雇用報告は7月15日まで

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1.障害者雇用報告と納付金制度

民間企業の場合、雇用する労働者の数が常時45.5人以上の事業主は、毎年1回、6月1日現在の身体障害者、知的障害者及び精神障害者の雇用に関する状況を報告しなければなりません(障害者雇用促進法43条第7項ほか)。

 該当する企業には5月の下旬に報告書式が送られてきますので、必要事項を記載して7月15日までに報告をします。
 この時期は労働保険の概算確定申告、算定基礎届、住民税額の天引き変更等もありますので、年間スケジュールの中の繁忙期でもあります。

 さて、従業員が一定数以上の規模の事業主は、従業員に占める身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合を「法定雇用率」以上にする義務があります(障害者雇用促進法43条第1項)。

 現在、民間企業の法定雇用率は2.2%です。従業員を45.5人以上雇用している企業は、障害者を1人以上雇用しなければなりません。

 そして、常用労働者が100人を超える企業は、障害者雇用納付金制度の対象になります。また、法定雇用率を達成している場合も、障害者雇用納付金の申告が必要です。
 
 この納付金制度は、法定雇用率を達成していない企業のうち、常用労働者が100人を超える企業は、障害者雇用納付金を納入する一方で、法定雇用障害者数を超えている企業には、雇用障害者の数に応じ、調整金を交付することを通じ、障害者の雇用促進を目指すものです。

2.障害者雇用状況の集計結果
 
 厚生労働省が公表する障害者雇用状況集計結果によると、平成29年の民間企業における法定雇用率は2.0%で、雇用障害者数は49万5,795人と過去最高を記録しましたが、この法定雇用率を達成した企業の割合は、50.0ポイント(対前年比1.2ポイント上昇)となっており、雇用達成している企業は増えているものの半分の企業にとどまっています。

働き方改革審議始まる

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時間外労働の1か月の上限時間等を規制する労働基準法の改正を含めた 通称「働き方改革」の審議が国会で今日始まるようです。野党欠席のまま進めると報道されています。

この法案が通りますと、労働基準法は久しぶりの改定になります。

また、法案の中には、非正規社員と正社員の格差を是正する労働契約法、パート労働法、派遣法の改正も含まれています。

改正法案の改正法案概要_厚生労働省PDF

労務管理のセクハラ問題

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働く人がセクシャルハラスメント被害にあったと、事業主や上司や事業所内のハラスメント相談窓口(以下、事業主等といいます。)が相談を受けた場合、被害者がどう解決してほしいと考えるかという本人の希望を聞く必要があります。

そして被害者が、加害者とされる人に事情を聞くことを承知したならば、事業主等は加害者とされる人に事実関係を確認し、解決策を講じることになります。

また事業主は、そもそもセクシャルハラスメントを未然に防止する義務があります。

 

報道局の女性記者という方が、官僚から言葉のセクシャルハラスメントを受けていたと、被害者の所属する報道局広報が記者会見した件、どうも違和感があります。一連のことについては、多方面から違和感があるといわれていますが、事業主が報道局ということからなのか、事業主の問題が指摘されない点で違和感があります。

報道局の女性記者という方から、官僚から言葉のセクシャルハラスメントを受けていたと事業主等が報告をうけたら、「録音テープを公表する」ことを検討するのではなく、加害者とされる人に事実を確認をして、事実があれば改善をするように申し出をする必要があると考えています。

加害者が取材対象ですから、今後取材を拒否されることを懸念して、報道の会社が加害者に申し入れをできないようなことがあると推察できます。そうであれば、担当を変えて被害者と加害者を引き離すということも方法のひとつですね。

自社の社員が被害をうけたら、「報道するか否か」というのはどうもいささか事業主責任の話が置き去りにされていたのかと思います。これは労務管理において学ぶことのひとつだと感じました。

 

まとめ:事業主等は、防止策を講じること。起こってしまったら、その事実確認と解決が義務になります。

問題社員を懲戒処分できるか

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経営者や人事担当者は、しっかりとした採用決定基準を持ち、慎重に採用を決定していらっしゃることでしょう。

しかし、大変残念なことに、遅刻を繰り返したり、見込んだ能力が発揮できなかったり、上司の指示に従わなかったり、職場の社員に嫌がらせをする等のトラブルを繰り返すような社員が出てくることがあります。

今回は、問題の程度を特定するために「遅刻を繰り返す、上司の指示に従わない、他の社員に嫌がらせをする」というケースで考えていきます。

もし読者が、採用面接をして採用を決定した人事の立場であれば、見込みが違ったことからくる苛立ちや、信頼を裏切られたという感情もあいまって、「何が何でも解雇したい」と考えるときがくるかも知れません。

では、会社は問題社員をただちに解雇をすることができるかというと、そうではありません。合理的で相当な理由が無ければなりません。

1.事実調査と指導面談

実際には、社員と十分に話し合い、なぜ、今の勤務状態に陥っているのか判断し、当事者にも弁明の機会を与え、改善をする目標を決め、一定の期間の改善のための猶予期間を作り、勤務改善等に導くことが大切と思います。

 

指導面談を行うときは、これらの事実の経緯や今後の予定について書面に残します。

この指導面談の記録は、記録しておくべき項目をあらかじめ決めた書式を用いることが、迅速でかつ、事実をありのままに記録することにつながります。

 

基本項目 指導面談日時、指導面談実施者氏名、場所
対象者の項目 対象者の氏名、生年月日、所属、入社日
今後の方向性 改善を求めた内容、面談者所感、事後のフォロー面談等の必要性とその実施予定日

 

上司や人事部門等の立場で当事者の社員に何が不足していて、どのような改善を求めているのか、上司の指導は何が不足していたのかを冷静に見つめなおす作業になります。

 

また指導面談等の際には、必ず事実に対する本人の弁明の機会を与えます。対象の社員は、問題行動をしていることに気がついていないケースもよくあるようです。これは大変意外なことですが本当に気付いていなかったケースがあります。

 

2.改善指導および懲戒処分

 

事実調査と本人の弁明を聞いて、改善が必要と判断した問題社員には、きちんと改善指導を行います。指導を繰り返してもなお改めないときは、懲戒処分を検討するケースも出てきます。

懲戒処分は、あらかじめ懲戒委員会を設置してしておき、定められた手順によって複数の委員の合議で決定することと、就業規則を整えておくことも重要です。

労働保険加入の勧奨

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厚生労働省によると、労働保険の加入手続が済んでいない事業場に対する加入勧奨業務を外部委託し2021年3月まで、委託された事業者が未加入事業所へ勧奨を行うようです。

当方が新しく社労士顧問をお受けするときに、労働保険事務組合に加入されているお客様としばしば出会うことがあります。新規に加入するとき労働保険事務組合が心強いパートナーになられているようですね。

厚生労働省の発表はこちらです。

  1. 受託事業者
    一般社団法人全国労働保険事務組合連合会(本部:東京都)
  2. 契約期間
    平成30年4月2日から平成33年3月31日まで

http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=242787