学問的に考える

ちょうど25年前の春、大学に入学しました。社会人経験を経て、慶應義塾大学の通信課程を始めた日です。

参考図書を読み、レポートを作成する中では、実際に社会人で経験した事象をテーマにあたることもありました。そこでふと思ったのは、実際に世の中で起こっていることを、学問としてとらえて文章にしていくとこんなことになっているのだといたく感動したことです。一見、それは机上の理論で現実はそんなにすっきり説明できないとも思われるものも、定説理論で説明してみると事象のつながりが理解できる。

実際は、そうした気付きが面白くて、課目を根気よく重ねて取得するうちに4年間で終了し経済学学士を得ることができました。

今朝の日本経済新聞に、大学入学式で学長の方々が語られた祝辞が紹介されていましたが、清家敦塾長の言葉で、

慶応義塾大の清家篤塾長は、現代を「地球や社会の持続可能性そのものを問う変化の時代」と定義。「人文、社会、自然科学を幅広く学ぶことで学問的に考えるとはどういうことかを理解してほしい」と語った。

とのこと。この記事を読んで、25年前の学問を始めた時の思いを思い出すことができました。
春に限らず、学ぶことと、いかに時代をとらえていくかを続けていきたいと思いました。

雇用保険等改正案

header_column

201710koyou

国会に雇用保険等を改正する法律案が提出されています。

雇用保険料の引き下げ(2017.04月から)や、一定の理由がある人の育児休業ができる最長期間を最大2年に延長(2017.10月から)する改正案が含まれています。

成立すれば、4月に施行が予定されている項目がありますから、そろそろ成立をしてほしいと思います。

画像をクリックすると、詳しい改正案がご覧いただけます。

 

 

 

 

人工知能と理倫、注目のディープラーニング

header_column

昨日は、大関ひろ美が所属する社労士会の山の手統括支部で研修会に参加しました。
人工知能におけるディープラーニングと社労士業がテーマでした。面白く、また考えさせられるので思考が混乱しましたが、有意義なテーマでしたので、内容の概要と感想を書きたいと思います。

大変大雑把にまとめると、人工知能は、そもそも人間の脳神経内の決断システムを応用して開発されていて、
大量のデータから、最善の答えを導き出してくれる一連の流れをディープラーニングといい、
これら人工知能を搭載して、人間の意思に役立つように有形物にしたものがロボットということのようです。

セミナーでは、「天使か悪魔か 羽生善治 人工知能を探る」という2016.5月に放映されたNHKスペシャルをNHKのディレクター様が解説をされたのが第一部。
第二部は、実際に人工知能を使ったシステムを企業等に供給しているベンダー様が解説をされました。

セミナーの中で、人工知能やそれを搭載したロボットが感情をもつように開発されていることも紹介されました。いろいろは活用が期待されると思いました。
一方で、人工知能は「人間が、どうしてそうしてほしいと指示しているか。目的そのものや善悪の判断」を読み取れないので、人間が悪意で操作すると素直に学習して社会的に悪い行動も実行する。たとえばキッチンのシーンで、食用オイルをサラダにかけるロボットに、コンロの火に食用オイルをかけてと指示しても実行して、火災になるという現象。

人間は火に油を注いではいけないという経験をしているけれども、それをデーターで入力していない、または逆に、作為的に「火に油を注ぐのは人が喜ぶこと」と常識外のダメなデータを大量に与えることもできるということです。これは、マイクロソフト自動会話システムのTayが人種差別的発言をするように作為的に操作されて昨年3月に使用停止にした例でも明らかなようです。
開発する人は、倫理を人工知能に組み込む必要があるとのこと。

さて2月28日に学会が、人工知能開発者が守るべき倫理指針をまとめたようです。私たちの業務にも積極的に人工知能が使われてくると思います。倫理をもって取り入れていくことを心に強く思いました。

人工知能 研究者が守るべき倫理指針 学会がまとめる
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170228/k10010893851000.html

死亡のトヨタ関連社員、基準満たさずとも労災認定 名古屋高裁

header_column

心肺停止で死亡した方の労災認定が名古屋高裁でありました。長時間労働による心疾患被災については、公表されている労災認定基準をもとに判断している例が多いのです。
しかし、この裁判では、被災された方の残業時間は、公表されている労災基準を満たしていないが認定されたとのことですので、労働時間を除く他の事実がどのようなものであったか、裁判の判決文章を入手して読んでみたいと思います。

トヨタ自動車関連会社社員の男性=当時(37)=が死亡したのは過重な時間外労働が原因だとして、妻(39)=愛知県安城市=が国を相手に労災不認定処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が23日、名古屋高裁であった。藤山雅行裁判長は「業務との因果関係は、労災認定基準を満たさずとも認められる」と述べ、請求を棄却した一審名古屋地裁判決と半田労基署の不認定処分をそれぞれ取り消した。

藤山裁判長は「死亡前1カ月の時間外労働は少なくとも85時間と過重で、睡眠時間が減少し心停止に至った」と指摘した。労災認定では、発症前1カ月の時間外労働が100時間を超えることが一つの基準となっている。

判決によると、男性は2011年9月27日未明、自宅で死亡。妻が12年1月に遺族補償給付などを申請したが、半田労基署は同10月に不支給と判断していた。

半田労基署は「判決内容を検討し、関係機関とも協議して対応を決める」とコメントした。

(時事通信)
2017年2月23日

どうする?プレミアムフライデー

header_column

今週の金曜日は、プレミアムフライデーです。

政府と民間団体でつくる推進協議会のホームページによると「個人が幸せや楽しさを感じられる買物や家族との外出、観光」ができる時間を創り出そうという取り組みを実施するようです。

モノを買ったり、コトを体験したりして消費を高める狙いがあるようですが、働く人が消費をする時間を作れるかどうかは、企業が就業時間を切り上げて帰ることを推奨するかどうかに左右されます。

定着するのかどうか様子見の企業が多いのではないかと思っていますが、大企業は自社のホームページ等で取り組みを公開し始めています。っと言ってももう今週末が1回目のプレミアムフライデーですから、現時点で扱いを決めていない企業は、様子見をしようと思っているのではないでしょうか。

 

一方で経団連や推進協議会に賛同している企業は、積極的に取り組むという調査結果を公開しています。

「既に 働き方の改革取り組み始めている」27.9%

「働き方改革の実施が決定している」7.3%

「現在、前向に検討中」18.5%

「今後、前向きにする予定」22.7%

であり、以上から何らかの動きがある企業の合計は76.4%になったそうです。

もともと小規模企業は働く時間の社内ルールが個別的柔軟なところがあるため、月末金曜日にみんなで有給休暇を取りましょう!という動きになりづらいのかと思います。

そもそも社員が何時間働くかではなく、どんな付加価値を沢山作りだすかが重要であります。最適な労働時間で作り出す付加価値を高めたいという取り組みが続くと考えます。

過去には、徐々に週休二日制度が浸透していったように、今回のプレミアムフライデーが浸透されていくかどうか見守っていきたいと思います。
プレミアムフライデー推進協議会のページはこちらです。
https://premium-friday.go.jp/

働き方改革会議時間外の上限案

header_column

政府が行っている働き方改革会議の第7回目(2017.2.14)の議事資料が公開されています。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/dai7/gijisidai.html

その中で、改革官房働き方改革実現推進室は、時間外労働をさせることができる「ひと月と1年間の上限時間」を法律に具体的に規定する方向性を示しました。(下記2ページから4ページ)

36協定により法定労働時間を延長できる時間外労働時間の原則(案)は、

●原則 1)月45時間かつ年間360時間とする

●特例 2)臨時的な特別条項をつけた協定は1年720時間(月平均60時間)とする

●特例 3)月45時間を超えて時間外労働をさせるときは労働者側のチェックを可能とするために別途臨時的に特別な事情がある場合にあるという労使協定を義務つける

●そのほか4)現在上限時間の適用から外れている次の3つは対応を検討する。

1.新技術、新商品等の研究開発業務

2.建設事業

3.自動車の運転業務等

●そのほか突発的な事故や災害その他避けることができない事由については引き続き時間外労働を認める。

これについては、多くの委員が法定労働時間を延長できる時間外労働時間を定めることに賛成をしているようです。具体的な時間数については、意見がわかれています。

月に45時間を超えて時間外労働をさせるときは労働者側のチェックを可能とするために別途臨時的に特別な事情がある場合にあるという労使協定を義務つける。ことについては、労働組合がある大企業ではすでに数十年前から何らかの労使の協議の場が持たれていたもので、ただし、月45時間を超えた事後に話し合う企業が多いように思いますが、それを事前に労使協定が必要だと提いう提案になっています。

労働組合の結成率が低い中、事前の労使協定をどのように締結するのか、実務面で運用が継続できる企業は多くないと思います。

引き続き見守りながら取り上げていきたいと思います。

siryou2_2 siryou2_3 siryou2_4 siryou2_5 

労働時間の適正把握ガイドライン

header_column

厚生労働省は、企業が時間外労働の把握を必ずしも適正に行っていない例があるとして、適正な把握を指導するガイドラインを更新しました。法令ではありませんが、趣旨を理解して、企業の中で労働時間管理の運用を改めて精査することが求められています。

労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(H29.1.20策定)

は比較的細かく具体例を挙げて示しています。ただし、従来からの考えに変更点はないと考えます。それでは、概要を紹介します。

 

〇1-1始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法 は、

使用者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、原則として次のいず れかの方法によること。
ア 。使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること。
イ 。タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎 として確認し、適正に記録すること。

としています。使用者が自ら全社員の始業と終業時刻を把握するのは、実質的には完全に実施できないと思われるため、タイムカードや入退室記録等の客観的な記録によって把握することを求めています。

 

〇1-2代替的な方法として自己申告制度とするならば、

PCの使用時間等と自己申告時刻がかい離していないか、使用者が適正に管理をすることを求めています。

 

→コメント:運用上の問題として、タイムカードやICカードの記録は、社屋や執務室に滞在した時刻の記録であることが多く、執務室等に入ってすぐに仕事にとりかかっていない職場は、タイムラグがります。

一方で、エクセル表や出勤簿アプリ等に自己申告させる方法は、記録忘れ・過少または過大に申告することがあります。また、昨今問題になっている使用者が時間外時間を過少申告するように強いる違法行為がこなわれることもしばしばあります。

これらは、労働時間を適正に申告することを労使の当たり前の習慣および共通認識にすることが重要になります。

 

〇2自主的な研修等であっても使用者の指揮命令下のもとかどうかについては、

実際に使用者の指示によって業務に従事しているという状況であれば労働時間として扱わなければならないとしています。

例えば、休憩や自主的な研修、教育訓練、学習等であるため労働時間ではな いと報告されていても、実際には、使用者の指示により業務に従事しているなど 使用者の指揮命令下に置かれていたと認められる時間については、労働時間と して扱わなければならない。 と事例をあげています。

 

→コメント:この扱いも従来から変わらない指導内容ですが、改めて検証して、自主的な教育訓練と判断している時間が実は使用者の指示によるものである場合がなくわない現状があれば正すべきものです。

 

厚生労働省のガイドラインは、こちらで確認ください。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000149439.pdf

労働紛争解決システムの在り方

header_column

1月30日に厚生労働省の有識者検討会では、裁判で解雇が不当と判断された場合に、職場復帰ではなく金銭的に解決ができるルールつくりの検討がされたといいます。

検討化は、労働紛争解決システムの在り方について話し合いがされており、昨日は第12回目。
昨日の資料がこれから掲載されると思いますので、このページで今後読んでみようと思います。

透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-roudou.html?tid=307309

プレミアムフライデー

header_column

徐々にPRがすすんできたプレミアムフライデー。働き方改革のためかとおもいきや、経済産業省や経団連などが連携して消費を高めようという動きが先行したようです。

月末の金曜日に企業や社員に対し15:00を帰宅の目安にするように呼びかけるようです。
御社はどうされますか?と投げかけるだけでは無責任な気がします。

飲食業や物販をする企業の社員は、その消費者をお得なサービスを用意してうけとめるという動きもあるようです。ですから、とりあえず月末の金曜日に早く帰ることができないですね。その分月初などの違うときに早く帰りましょうという動きがでてくるのでしょう。

どこまで定着するのか、まずはためしにやってみようということかもしれません。

傷手の審査会裁決セミナー

header_column

1月24日は、一般法人企業福祉・共済総合研究所で傷病手当金の社会保険審査会動向を話しました。

健康保険は、私傷病やけがで労務ができないときに傷病手当金が払われます。

きょうかい健保が発表した給付資料によると、
精神および行動の障害で傷病手当金を給付した件数は、年々増加しています。

年度別に傷病手当金の受給の原因となった傷病別の件数の構成割合をみると、消化器系の疾患は、平成7年は14.64%でしたが、平成27年は4.04%と大幅に減少しています。その一方で、精神及び行動の障害は、平成7年は4.45%であったが、平成15年には10.14%と10%を超え、平成27年には27.51%と大幅に増加しています。

傷病手当金の支給期間は、同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病に関しては、その支給を始めた日から起算して一年六月を超えないものとする。と決められているので、

繰り返し休むことが多いうつ病などは、2回目以降の労務不能の期間について、すでに支給した日から起算するかどうかによって、いつまで支払うかが問題になることがあります。

また、労務不能かどうかを給付実務の上で迷うケースもあります。

今回は平成20年から26年まで18の審査資料を基に健康保険組合の運営に携わる方々に解説をしました。次回セミナーは平成29年6月1日に開催が予定されています。