専業主婦・主夫の年金手続きもれに朗報

国民年金制度に改正がありました。わかりにくい第三号被保険者制度ですが、手続き漏れや納付漏れ期間があって現在の年金受給資格25年間の加入期間がないために無年金となる人を救済する制度です。

サラリーマン配偶者が退職したり、65歳になって厚生年金から抜けたとき、または自分の収入が増えて被扶養者から抜けたとき、国民年金の第三号被保険者は第一号被保険者か厚生年金被保険者になるなどの手続きをして自ら納付しなければなりません。サラリーマンの手続きは会社が行いますが、その配偶者の手続きは自分で届け出て納付する必要があるために漏れているケースが見つかっています。

後からでも手続きをしたり納付をすることができるようになりました。手続き漏れについては届け出をすれば、年金が受け取れる資格が生まれるようになるだけです。
ですから、受給金額を増やそうとする場合は、さかのぼって納付(平成27年4月から納付可能)する必要がありますので、きちんと納付してきた人との公平性が保たれていると思います。

企業が手続きすると同時に、社員の配偶者が自分で年金の届けが必要になるケースを社員に説明するようにお願いします。
そして、実際に届け出や納付漏れがある人の救済制度は下記のページで確認できます。
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/topics/2013/dl/0701_01.pdf

健保平均標準報酬の格差 

定年や役員退任をする人から、今後の健康保険制度加入について相談を受けることがあります。

75歳までの人が退職したならば3通りの選択があります。

  1. これまでに加入していた健康保険制度に2年間加入する任意継続被保険者になる
  2. 国民健康保険の被保険者になる
  3. 家族の被扶養者として加入する

退職後の収入や、これまでの収入と、1と2については保険料を考慮して加入を選択します。

任意継続被保険者になった場合、これまで会社が負担していた保険料も本人が負担しますので2倍の保険料負担になります。ただし、その健康保険制度の平均標準報酬月額が上限ですので単純に2倍になるわけではありません。

中小企業が加入する「協会けんぽ」は月額28万円が平均標準報酬月額です。

協会けんぽの場合、たとえば45歳以上65歳未満で在職中に50万円だった人は、月額28,800円の負担から→→32,560円になります。

ところで、この平均標準報酬は加入先の健保でずいぶん差があるようです。協会けんぽが28万円であることに対して、大企業の健康保険組合ですと40万円ほどのようです。

健康は保険者が本来取り組むべきことを周知

産業競争力会議の第9回資料より、
今回はレセプトや医療機関の診療記録の活用を取り上げたいと思います。

健康保険制度の被保険者が診療所や病院(以下は病院等といいます)にかかると、費用の社会保険負担分を請求するための書類(以下はレセプトといいます)を病院等が作成します。これらのデータを健康・医療データに生かし産業として成長し、また医療介護など総合福祉の効果的で適正な給付につなげていこうというものです。

たくさんある資料の中に、「健康は保険者が本来取り組むべきことを周知しましょう」という文脈をみつけました。主に生活習慣が原因で病気になるものの場合、具合が悪くなって受診した後のデータを分析したり健康指導をするよりも、一人ひとりの健康管理がこの国の社会保障費を適正化することにつながりますから、とても大事な提案だと思います。

さて、成長戦略で取り上げられているレセプトは、数年前まで紙で作成していたものから電子データにほぼ置き換わりつつあります。このデータには医療行為や処方薬がコード化されています。

産業競争力会議の医療健康産業分野では、こうしたレセプトデータを活用して、効果的な医療方法の分析や無駄使いの削減と健康増進につなげていこうと提案されています。

(ただし、一部の診療所では電子のレセプトになっていないものもあります。また、柔道整復師の保険適用分は、診療報酬支払基金をとおらないので、今回の検討から除かれているように思います。)

先進的な健康保険組合の事例として紹介されているものには、糖尿病の治療を促す健保組合の事例をあげています。健康診断データとレセプトデータを組み合わせて分析して、通院を促したり症状が重い人には本人の了承のもとに生活のいわゆる教育入院を勧めている事例を紹介しています。

健保組合、糖尿病の取り組み例

第9回産業成長力会議の資料のうち健康・医療戦略について(参考資料)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/skkkaigi/dai9/siryou2-2.pdf

第9回産業競争力会議資料はこちら
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/skkkaigi/dai9/siryou.html

産前産後休暇の社会保険料免除は来年4月1日から 

産前産後休業期間中の健康保険・厚生年金保険料は平成26年4月から免除に決まりました。

すでに180回通常国会で免除される内容は決まっていましたが、施行される日は未定だったものです。

現在は出産後8週がたって育児休業を取得している場合に免除が始まりましたが、
産前6週間(多胎妊娠の場合14週間)、産後8週間のうち、被保険者が休んだ期間)の健保・厚年保険料が免除されることとなります。産前産後休暇の被保険者から保険料を会社に振り込んでもらう必要もなくなります。

昨年8月に公布された「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律」に基く改正です。産前産後休業期間休んでいる被保険者も会社負担分も免除されます。

http://kanpou.npb.go.jp/20130510/20130510g00097/20130510g000970012f.html

健康保険法を労災以外の給付対象に 

議案として健康保険法の改正が上がっています。今日からの国会後半で決まるでしょうか(会期は6月26日まで)。
健康保険制度の目的を「労働者又はその被扶養者の業務災害」以外の給付を対象にしようとする議案です。

現在は目的(1条)をこのように規定しています。
労働者の業務外の事由による疾病、負傷若しくは死亡又は出産及びその被扶養者の疾病、負傷、死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。

「業務外の理由に給付」から「業務災害以外の給付」を対象にすることでなにが変わるのでしょうか。

・ひとつには、シルバー人材センターで請負契約で働くシニアがけがをした場合、給付の対象にならなかったものを法律上給付対象にすること目的があるようです。
このケースの場合は請負契約であれば本人の自腹で治療等をまかなうか、個人事業主が加入する労災があるわけですが、働き方として継続して収入がある個人事業主というにはやや厳しい実態にあることから、社会保障で負担するでべきではないかということになりました。

ただし、シルバー人材センターのシニアが健康保険に加入しているか、健康保険に加入する子供の被扶養者になっている場合に限られますので、ケースとしてはそれほど多くないことになります。
(シルバー人材センター会員76万人、月の収入35,000円程度 平成24年3月現在)

・もう一つのケースは、インターンシップで働く学生の仕事中のけがを労災に該当しなければ健康保険給付の対象にしようということのようです。

健康保険と労災保険の適用関係の整理について(厚生労働省保険局H24.11.28のPDF)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002pb1x-att/2r9852000002pb5j.pdf

メンタルに関連する傷手セミナー 

新年度、以前から担当している企業福祉共済総合研究所のセミナー講師を引き続き予定しています。

傷病手当金の実務は、母体の企業の労務管理と密接にかかわりがあることを話す機会が増えました。

協会けんぽの傷病手当金の疾病別トップは、うつ病を含む精神及び行動の障害です。(26.3%、平成23年10月現金給付受給者状況調査報告)

退職後に一定の要件に当てはまる人が受ける資格喪失後給付では、うつ病を含む精神及び行動の障害が42.72%と高くなっています。
(同上の調査結果より)

メンタルヘルスの傷病手当金セミナーから始めた講師も、給付を中心にテーマが多彩になってきました。
13回の日程が決まっています。健保組合や共済組合の事務長や職員の方々が主に受講されます。
給付を必要とされる方々に合理的に給付が行われるよう、参加者と理解を深めていきたいと思います。

セミナーテーマ予定
・傷病手当金メンタル編
・健保中堅社員フォローアップセミナー
・女子職員セミナー
・傷病手当金動向(社会保険審査会を読む)
・健保組合地域の支部等での現金給付セミナー

平成25年度から助成金が新設・統廃合 

雇用に関連して厚生労働省が行っている助成金の新設・統廃合予定リストがアップされています。

中小企業基盤人材確保助成金などは廃止され、新設の助成金へ変わる予定のようです。今回はリストアップのみが発表されており、詳細は今後の発表ということになっていますので、しばらく待ちたいと思います。

http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/dl/130214-1.pdf

傷病手当金の社会保険審査会の動向セミナー 

平成24年11月20日、新しいテーマでセミナーをしました。
「傷病手当金の社会保険審査会の動向」です。
平成20年~平成22年までの裁決から6件を紹介し、参加の皆様で実務にあてはめるとどうなるかなど意見を交換しました。
ご参加の中には、これまでに傷病手当金実務セミナー(メンタル編基本内容)を学ばれて、新しい情報を求めてこのテーマにも再度足を運んでくださった方々もおられました。毎回、共助の健保制度の奥深さを感じます。

年内に担当する公開セミナーは
11月28日の健保組合中級職員フォローアップセミナー
12月11日の傷病手当金実務セミナー(メンタル編)

主催の企業福祉・共済総合研究所の告知はトップページの「近日開催のセミナーご案内」こちらです。

WFMHレポートから:世界で3億5千万人が現在うつ病にかかっている

2012年世界精神保健デーであった10月10日に、世界精神保康連盟(WFMH)は、レポートを発表しました。
当日のニュースなどでも「世界で3億5千万人が現在うつ病にかかっている」という数値をキャッチに使って報道されたので、記憶されている人も多いと思います。

さて、レポートを読んでみると興味深いことがいくつかあります。世界的な規模で提言されており、それを個人レベル、家族レベル、地域、国家レベルで言及しています。また世界の傾向を提言しているので、その内容が日本ではどうなのかを考えると深い意味があると思います。たとえば、

  • 世界的にみると治療にまでたどり着いていない人がいる。
    治療に届くまでの障害がある。世界中で見て患者の25%以下しかうつ病の治療を受けていない。
  • 助けを得ること
    治療を受けることになじみがない人に、誰かが手を差し伸べる。インターネットを利用して情報を探すのは良い方法。
  • 自身のケアをすること
    何か運動をすること、毎日のバランスがとれた食事、ストレスを回避する、自分自身に強くなるなど。
  • 世界的にみると経済的環境、貧困がうつ病にかかわりがある
    経済的危機との関連が無視できない。
  • 先進国では経済的不平等の増悪、固定化と精神障害のリスクを研究したものがほとんどない
    うつ病のコストは大きく、多くの急性身体的疾患よりも精神疾患は長期化する。世界的にも無視しえないことがより重要になる。これらは、50ページ弱にわたるレポートになっています。
    文脈の前後との関係から述べられているもので、以上のように概要だけをピックアップすると全体の趣旨の伝わり方に錯誤があるかもしれません。ただし、概要を示すことで興味をもたれた方は、日本語のレポートを読んできいただけるのではないか?と思い紹介しました。
    情報のひとつにしていただければと思います。個人レベルでは、プラス思考で毎日を過ごすことの重要さを感じます。今日も元気にリフレッシュしていきましょう。

    レポートは、こちらでご覧いただけます。PDFが開きます。

<コラム>メンタル疾患に陥らないために

「心の電話相談」は増加傾向にあり年間2万9千件

職場の人間関係で問題を抱える人が増えています。
以前、ブログで紹介しましたが、独立行政法人 労働者健康福祉機構は、労働環境の急速な変化に伴い、平成12年から働く人や家族から寄せられる心の問題相談に専門のカウンセラーが行う電話相談を実施しており、相談件数を公表しています。
平成23年の相談件数は、29,209件でした。

同機構は、「心の電話相談」に寄せられた相談内容をいくつかに分類しています。
その中で、職場の問題では「上司との人間関係」に続いて、「同僚」や「その他の人」との人間関係が多く寄せられたとしています。その他には「職場環境」「勤務形態」「仕事の質的負荷」「職務内容」などが続きますが、人間関係の相談案件が目立つように思います。

実は、セミナーなどで「職場の問題が関係したと思われる欠勤や休職ならば、その多くは労災から給付を受けられるのではないか?」と質問を受けます。

精神障害(労災保険でのメンタル疾患の呼び方)が、労災の給付対象になるかどうか、あくまで概略にすぎませんが列挙してみると、

1.対象となる疾病を発症していること
2.発症の前の一定期間に業務において負荷が高い事象があったと認められること
3.労働者側に固有の原因がなく業務上の災害と認められること など

という基準があり、最終的には申請内容一件づつを総合的に検討して判断がされるようになっています。

実際、平成23年度に労災給付で精神障害が対象と認定された方の件数は、325件と発表されています(資料出所:厚労省 脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災補償状況 労基法施行規則別表第1の2第9号の精神障害を集計)。

一方で、日本では100人に3~7人という割合でこれまでにうつ病を経験した人がいるという調査結果があります(記載引用:厚労省ホームページ みんなのメンタルヘルス)。
これらの件数からは、同じ職場環境のもとに働いていて、うつ病などのメンタル疾患を経験する人と、自身や職場の総合力で対応している人がいるとみるのが妥当と思います。

そうしたことから、メンタル疾患の背景に何らかの職場の問題があるとしても、すべてを労災の給付の対象としていないと整理して理解することができるでしょう。

自ら好んで精神的に不調になる人はおられないというのはいうまでもないことと思います。
精神的な不調に陥らず、一人ひとりの可能性発揮と企業への貢献を引き出していくには、働く人自身の職場対応力と職場の総力が求められていると思います。