WFMHレポートから:世界で3億5千万人が現在うつ病にかかっている

2012年世界精神保健デーであった10月10日に、世界精神保康連盟(WFMH)は、レポートを発表しました。
当日のニュースなどでも「世界で3億5千万人が現在うつ病にかかっている」という数値をキャッチに使って報道されたので、記憶されている人も多いと思います。

さて、レポートを読んでみると興味深いことがいくつかあります。世界的な規模で提言されており、それを個人レベル、家族レベル、地域、国家レベルで言及しています。また世界の傾向を提言しているので、その内容が日本ではどうなのかを考えると深い意味があると思います。たとえば、

  • 世界的にみると治療にまでたどり着いていない人がいる。
    治療に届くまでの障害がある。世界中で見て患者の25%以下しかうつ病の治療を受けていない。
  • 助けを得ること
    治療を受けることになじみがない人に、誰かが手を差し伸べる。インターネットを利用して情報を探すのは良い方法。
  • 自身のケアをすること
    何か運動をすること、毎日のバランスがとれた食事、ストレスを回避する、自分自身に強くなるなど。
  • 世界的にみると経済的環境、貧困がうつ病にかかわりがある
    経済的危機との関連が無視できない。
  • 先進国では経済的不平等の増悪、固定化と精神障害のリスクを研究したものがほとんどない
    うつ病のコストは大きく、多くの急性身体的疾患よりも精神疾患は長期化する。世界的にも無視しえないことがより重要になる。これらは、50ページ弱にわたるレポートになっています。
    文脈の前後との関係から述べられているもので、以上のように概要だけをピックアップすると全体の趣旨の伝わり方に錯誤があるかもしれません。ただし、概要を示すことで興味をもたれた方は、日本語のレポートを読んできいただけるのではないか?と思い紹介しました。
    情報のひとつにしていただければと思います。個人レベルでは、プラス思考で毎日を過ごすことの重要さを感じます。今日も元気にリフレッシュしていきましょう。

    レポートは、こちらでご覧いただけます。PDFが開きます。

<コラム>メンタル疾患に陥らないために

「心の電話相談」は増加傾向にあり年間2万9千件

職場の人間関係で問題を抱える人が増えています。
以前、ブログで紹介しましたが、独立行政法人 労働者健康福祉機構は、労働環境の急速な変化に伴い、平成12年から働く人や家族から寄せられる心の問題相談に専門のカウンセラーが行う電話相談を実施しており、相談件数を公表しています。
平成23年の相談件数は、29,209件でした。

同機構は、「心の電話相談」に寄せられた相談内容をいくつかに分類しています。
その中で、職場の問題では「上司との人間関係」に続いて、「同僚」や「その他の人」との人間関係が多く寄せられたとしています。その他には「職場環境」「勤務形態」「仕事の質的負荷」「職務内容」などが続きますが、人間関係の相談案件が目立つように思います。

実は、セミナーなどで「職場の問題が関係したと思われる欠勤や休職ならば、その多くは労災から給付を受けられるのではないか?」と質問を受けます。

精神障害(労災保険でのメンタル疾患の呼び方)が、労災の給付対象になるかどうか、あくまで概略にすぎませんが列挙してみると、

1.対象となる疾病を発症していること
2.発症の前の一定期間に業務において負荷が高い事象があったと認められること
3.労働者側に固有の原因がなく業務上の災害と認められること など

という基準があり、最終的には申請内容一件づつを総合的に検討して判断がされるようになっています。

実際、平成23年度に労災給付で精神障害が対象と認定された方の件数は、325件と発表されています(資料出所:厚労省 脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災補償状況 労基法施行規則別表第1の2第9号の精神障害を集計)。

一方で、日本では100人に3~7人という割合でこれまでにうつ病を経験した人がいるという調査結果があります(記載引用:厚労省ホームページ みんなのメンタルヘルス)。
これらの件数からは、同じ職場環境のもとに働いていて、うつ病などのメンタル疾患を経験する人と、自身や職場の総合力で対応している人がいるとみるのが妥当と思います。

そうしたことから、メンタル疾患の背景に何らかの職場の問題があるとしても、すべてを労災の給付の対象としていないと整理して理解することができるでしょう。

自ら好んで精神的に不調になる人はおられないというのはいうまでもないことと思います。
精神的な不調に陥らず、一人ひとりの可能性発揮と企業への貢献を引き出していくには、働く人自身の職場対応力と職場の総力が求められていると思います。

労災保険給付の確定までに時間がかかるとき

被保険者が業務上の理由であるものか判断がつかない場合、労災の給付の請求を行った後に、労災の給付決定がされるまでの間に健康保険の保険者に「療養費」「傷病手当金」等の保険給付を請求する事例があります。影響がある部門として、労働基準監督署と、社内では人事や健保の複数の部門にわたるやっかいな問題です。

被保険者が業務上の理由であるものか判断がつかない場合、労災の給付の請求を行った後に、労災の認定が確定していないことを理由に健康保険の保険給付の申請を受理しないことは認められないとしています(平成24年6月20日厚生労働省保険局保険課から発出健康保険組合あて 事務連絡)。

これを事象で解説すると、健保組合等の保険者が保険給付の請求を受理しなかったために、労災保険給付が不認定となった時、「労災からでないのであれば、それでは・・健保から」と思い保険者(=社員)が健康保険組合や協会けんぽに傷病手当金を請求したとします。

傷病手当金を受けることができる権利は2年を経過したときに消滅します。ですから労災の給付認定が出るのを待っていた結果、2年の時効により健康保険組合の給付請求権が消滅してしまう事例があり、健保の被保険者(=社員)は給付を受け取れなくなりますので、これを防ぐためです。

さきほど紹介した平成24年6月20日の通知では、労災の認定が確定していないことを理由にして、保険者は傷病手当金等の請求を受理しないことはできない。としているにとどまっていますので、保険者がすぐに給付をするかどうかまでは言及していないと考えるのが妥当でしょう。

これらのケースで健康保険組合等の保険者が労災決定を待たずに給付を実行するならば、労災の給付を受け取れるときには返金をする旨の確認書などを差しいれてもらうことをお勧めします。

年金のリーフレットダウンロードできます

社会保険に新しく適用事業所になった会社の社員に説明会でお話しする依頼をうけました。資料を作成することも大切ですが、いまどきは厚労省が発効しているのではないかと調べてみると、やはりありました。年金については日本年金機構が掲載しています。

知っておきたい年金のはなし 8ページからのライフステージに沿った年金の説明がわかりやすくなっています。
http://www.nenkin.go.jp/n/open_imgs/free3/0000000011_0000004019.pdf

ほかにも日本年金機構は年金のリーフレットを掲載しています。
http://www.nenkin.go.jp/n/www/pamphlet/index.jsp

雇用保険をさかのぼって加入するとは・・・ 

雇用保険の加入手続きを忘れていたんですが。。。。どうしたらいいのでしょうか?と質問を受けることがあります。
もし失念した資格取得届を提出するならば、資格取得日をいつにするかは大事なことです。

例えば、倒産・解雇によって離職した人(特定受給資格者)の場合、被保険者期間が5年未満か5年以上かによって給付が変わってくるのです。
30歳以上45歳未満ならば90日⇒180日に増加。
45歳以上60歳未満ならば180日⇒240日に増加します。
事業主が、雇用している途中で気がついて、そのときすぐに届け出をしただけでは正しい手続きではないときもあるわけです。

本来加入する日に届けていれば退職者が受けられた日数に不足する日数があったとき、社員からその金銭を請求されることがないわけではありません。気がついた時点でできるだけさかのぼれる日まで遡及して加入するようにします。

手続きは2とおりありますが、社員が受け取る給付などで不利益にならないように、よく検討して手続きを進めるとよいでしょう。

1.手続きするときから2年間さかのぼって加入できる
従来からあった手続きです。資格取得届に労働者名簿、出勤簿、賃金台帳、雇用契約書、事例等を添付しますが詳しくは管轄のハローワークにお問い合わせください。

2.雇用保険料を天引きしていたならば2年間を超えてさかのぼって加入できる
平成22年10月1日から、雇用保険料が給与から天引きされていたことが明らかになれば、2年を超えて遡って、雇用保険の加入手続きができるようになりました。被保険者期間の是正によって給付が伸びるときと変わらないこともありますので、管轄のハローワークにお問い合わせください。在職中でも手続きができます。http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/dl/koyouhoken04.pdf

お手続きをうっかり間違えないためにもご不明点があればご相談ください。
ワンズオフィス社労士事務所は⇒こちらから

大企業の夏賞与 2.54%減の77万1,040円(経団連) 

経団連は7月26日、大手企業の2012年夏季賞与・一時金(ボーナス)の業種別妥結状況(最終集計)を発表しました。
調査対象の81%にあたる200社で妥結し、このうち平均額が不明などの40社を除く160社の平均妥結額(加重平均)は前夏比2.54%減の77万1,040円でした。
http://www.keidanren.or.jp/policy/2012/056.pdf

建設業の社会保険加入強化へ

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経営事項審査における保険未加入企業への減点措置を厳格化すると国土交通省が発表しています(2012.5.1報道発表資料より)。

(規則様式第25号の11及び第25号の12並びに告示第1の4の1及び付録第2関係)

法第27条の23に基づく経営事項審査(以下単に「経営事項審査」という。)において、社会性等(労働福祉の状況)に係る評価の項目及び基準を次のとおり見直す。

●評価項目のうち「健康保険及び厚生年金保険」を、「健康保険」と「厚生年金保険」に区分し、各項目ごとに審査することとする。(規則及び告示第1の4の1)

●「雇用保険」、「健康保険」及び「厚生年金保険」の各項目について、未加入の場合それぞれ40点の減点(3保険に未加入の場合120点の減点)とする。(告示付録第2)

建設業で働く労働者の社会保障を考えた措置とのことです。

国土交通省のページはこちらです。
http://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo13_hh_000156.html

民年金の納付率に思う

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2011年4月~2012年1月の納付率が57.6%と、低い記録になる見込みだそうです。

国民年金の納付の話ですから、厚生年金や共済年金以外の人ということで、20歳から60歳までの次のような国民で、現在納付をしていない方々の割合です。

・自営業者
・学生
・勤務していても厚生年金に該当しない短時間労働者
・配偶者が退職したので3号から国民年金1号になった人
・特に自営でもない人など
という人で、国民年金を納付しなければいけないけど、納付していない人です。

ただし、収入の要件などで手続きをすれば、納付が免除される人もいます。
保険料の免除申請ができる人が免除の手続きをすると、納付率として管理している数値は改善されます。
そして、手続きをした本人には、税金が財源となって将来の年金が支給されます。

では、この国民年金保険料の免除申請について考えてみますと、
税と年金の一体改革で与党が取り上げている「最低補償年金」は、実は現在の制度のままでも機能しているのではないでしょうか。

今の免除制度は保険料が収入に応じて免除されており、免除されても給付につながる額は、結果的にざっくり考えれば、収入に応じてなされる仕組みになっています。
収入があっても納付しなかった人は給付額が増えない仕組みになっていて、それなりに合理性があります。

改革案では「年金の最低支給額」を決めているとすると、現役であったときに収入があって(なぜか?)納付しなかった人にも最低保障の給付がなされる恐れがあります。

おそらく、この「なぜか?」を解決するには、社会保障に対する理解と、教育です。それと併せて大事なのは、年金制度信頼の回復ですね。

「最低補償年金」を入れたとき、納付免除の制度をどのように組み込んでいくのか、生活保護との考え方をどう整理するかよく見えてきません。
これらがきちんと機能するには、まだ整備しなければならないハードルが高いのではないでしょうか。

共通番号2016年開始を目指す

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個人が行う行政手続きを共通番号を使い、2016年から運用できるようにしようという動きがあります。

国民サイドでは、結婚、退職、引っ越し、税の申告等の届を、区役所や年金機構・国税庁に一度に行うことで利便性が見込めます。
管理する行政サイドでは、手続きのモレをなくし、保険料や納税の徴収をスムースにできます。

共通番号制度については、かなり前から導入が検討されており、健康保険証も管理して病院等の受診履歴を把握しようという案もあります。
複数の不要な診察を受けることを防止できますし、適正に利用をすればどういった治療が効果をあげているかという分析にも使えます。
そうしますと、膨らみ続けている医療費の国民負担を適正に抑制でき健康維持も期待が持てます。

多くの情報を集約管理することになりますから、人為的なミスによって情報が洩れたり悪用されるのではないかということが心配されます。
運営システムを作るのも運用していくのも人ですから、人的なミスが限りなくゼロになるには、緻密な設計と教育が必要です。

ただし、国民にとってメリットも大きいので、問題点はきちんと管理したうえで、合理的な利用がされていくことを期待しています。

うつの治療

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 2月12日に放送されたNHKスペシャル「うつ100万人」の最後で紹介された「うつ治療の研究」が気になりましたので、紹介します。
 神奈川県立精神医療センター 芹香病院の反復性経頭がい磁気刺激法です。病院のURLはこちら。
  http://www.kinkou.org/rTMS.html

 NHKの番組では、このほかにもアメリカなどの脳深部分を磁気で刺激する治療法(TMS)が紹介されました。
 日本では、神奈川県立精神医療センター 芹香病院が治療と研究の一環として入院による rTMS の取り組みが紹介されました。

 病院のホームページによると、NHKスペシャルの後に電話問い合わせが増えているようです。
 
 また、医師との対話などから診断することに加えて、東大病院などで行われている 「うつの診断補助 光トポグラフィー」 があり、うつの診断の正確性を上げる診断補助が行われています。
 治療への取り組みが続けられています。

 私は、メンタル疾患で傷病手当金を給付する実務のセミナー講師をしていることから、診断や治療の研究は今後も注目していくテーマです。