労働基準監督官

皆様のなぜ?に答える シリーズ3
労働基準監督署から監督官が会社へやってきました。社員の勤務時間記録を見せるようにと言われましたが、応じる必要はありますか?

旧知の経営者から久しぶりに連絡がありました。どうやら労働基準監督官が臨検に訪れたようです。

何らかの経緯があって、臨検をうけたと察しますが、理由はともあれ臨検に応じて、正すところは正すようにしなければなりません。

労働基準法第101条第1項には、「労働基準監督官は、事業場、寄宿舎その他の附属建設物に臨検し、帳簿及び書類の提出を求め、又は使用者若しくは労働者に対して尋問を行うことができる。」とあって、労働基準監督官が立ち入り調査をし、法律違反等の発見をし正しく是正するとされています。

臨検は、

  • 定期監督・・・労働基準監督署がその年の「監督指導業務計画」にそって、重点業務を定めて実施する
  • 申告監査・・・労基法第104条に基づいて、労働者が法令違反等の申告を労基署へ行ったとき実施する

というものがあります。

残業代を払っていない、残業をさせているのに時間外・休日労働に関する協定がない等労基法違反があった場合は「是正勧告書」を渡され、指定された期日までに「是正報告書」を提出しなければなりません。自主的に是正することを期待するものですので、是正報告に強制力はありませんが、悪質なものや再三の勧告にも改善の意思を示さない場合は、特別司法警察権限を行使して「送検」される可能性がありますし、罰金刑30万円以下(労基法第120条第4項)に処せられることもなります。

また、臨検を行ったときに改善を求める事項があった時には「指導票」が発行されます。冒頭の知人の会社が始業就業時刻の管理を適正な方法で行っていなかったならば、この「指導票」が交付されるのではないかと思います。この場合、「是正報告書」を求められます。内容によっては「改善報告書」を求める監督官もいます。

労働基準監督官は、第三者の中立な立場で法律を適用していきます
あたりまえですが、事業主に法律の運用で誤りがあって正すところがあるのならば、正す。という姿勢で応じなければならないと考えています。会社の継続的な発展のために。