本の紹介・経済学と法学の協動

amazonで注文した「雇用の世界」大内伸哉氏・川口大司氏 (有斐閣) が届き、さきほど読み終えました。
日本経済新聞(2012年12月30日付)の「エコノミストが選ぶ経済図書ベスト10」で第1位に選出に選ばれ、「2012年・年末に読んでみたい本」にも選ばれたというだけあって、約2か月ほど待って手にしました。

雇用の需要と供給や、賃金の決定および労働条件などを自由経済の取引に任せておけばよいか、
そこに法律が規定を加える役割はどこにあるのか。
というテーマを取り上げていると思います。

最後に少し政府が雇用政策を行うことの意味にも言及しており、政府といっても一定の役割がある人の集まりであるから、効果的な方向を見つけ出す効果は限定的にならざるをえず、雇用政策の費用と効果を検証したいと書いているように思いました。ちょうど行われようとしている経済対策の効果を10年後に検証するようなことを想定しているようです。

テーマについて、基本的な論調で進められていますので、これまでの解説と変わったことが書かれているわけでなく、落ち着いて読むことができました。

経済学と法学という視点から書かれていながら、ところどころに企業と働く人の労務管理における信頼関係や心理的な動きを書き加えているところが、社会人に読みやすい本になっているようです。

それでも、もっとより身近なテーマにするために、各章の導入部分で、就職活動の学生・フリーター・中高年・主婦・女性社員・創業者の2代目経営者という想定の人々の就職・失業・労災・恋愛ばなしを入れて、本の読破を促してくれています。この挿入物語の筆者はどなたかわかりませんが、わりと男性社会を意識して書かれた内容になっており、こうした本の読者は、男性が多いのだろうな、と思わせる編集になっていました。

雇用の世界 法と経済で読み解く