厚生労働大臣の諮問機関である、労働政策審議会は6月9日に「同一労働同一賃金に関する法制整備について」という報告をまとめました。すでに公表されている報告書案を見ると、労使が労働条件を決めやすくなるように均衡待遇の判断要素をこれまでよりも詳細にガイドラインで示し、またガイドラインの根拠を法律に書き込むことをまとめたようです。
報道によると、政府は、秋の臨時国会に関連法案を提出し、2019年の制度導入を目指すということのようです。
比較対象者と、何をもって差があるのかないのか、差があるとすると処遇の差の幅はどれほどが合理的かについては、職務の評価があいまいな日本ではなかなか難しい領域だと思います。
そんなことを考えつつ、下記に報告書の一部概要を書き留めておきます。
同一労働同一賃金に関する法制整備について
労働者が司法判断を求めるときに根拠となる規定を整備する
1.短時間労働者と有期契約労働者
●対象の現行法律:パートタイム労働法8条*、労働契約法20条(均衡待遇の規定)
①職務内容
②職務内容・配置の変更範囲(人材活用の仕組み)
③その他の事情
で無期雇用正規社員と比較して均衡が取れた待遇でなければならない。
としているが、①②③の要素の解釈の幅が大きく労使にとって分かりにくい。
また、比較する無期雇用正規社員が職場にいないことがある。
そして、短時間勤務者を対象にしているからフルタイム有期雇用社員は適用されない。
これらに対応する。
2.派遣労働者
●対象の現行法律:派遣法
賃金水準については、
①派遣先の労働者の賃金水準との均衡を考慮
②同種業務の一般労働者の賃金水準
③派遣労働者の職務内容と成果等
に配慮義務にとどまっており、派遣先の多様な処遇との均衡の判断は
現実的に容易ではない。
派遣先の賃金によっては、下方に引っ張られることもある。
これらを踏まえて、どちらかの選択性とすることが妥当。
1)派遣先の労働者との均等均衡による待遇改善か
2)労使協定による一定水準にを満たす待遇改善か
そして派遣元に原資の確保が伴うため、派遣先には派遣料金設定の際配慮義務を設ける。
3.ガイドラインの根拠規定の整備
こうした短時間労働者・有期契約労働者・派遣労働者の均等均衡規定・均衡待遇規定等の明確化を図るため、ガイドライン(指針)の策定根拠となる規定を設けることが適当である。
4.行政には裁判外紛争解決手続きの整備が求められる
等ですが、
同一労働同一賃金に関する法設備について(報告案)はこちらで読めます。
*通称パートタイム労働法の現在の内容についてはこちら
短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の改正について(H27.4.1)