パワーハラスメント防止関連法案通過

職場でのパワーハラスメント(パワハラ)防止を義務付ける「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案」が25日の衆院本会議で可決し、参院に送付されました。

  • 改正の趣旨

法案提出の理由は、女性をはじめとする多様な労働者が活躍できる就業環境の整備を目的としており、次の2点をあげています。

  • 1)女性活躍の推進

女性の職業生活における活躍を推進するための取り組み項目をまとめた「一般事業主行動計画」の策定と提出が必要となる事業主の対象を、現在の常用労働者301人以上の事業主から101人以上へ拡大し、「一般事業主行動計画」の内容については、現在は1項目以上の公表のみ求めているものを、「①職業生活に関する機会の提供に関する実績」、「②職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績」に区分して、各区分から1項目以上公表を求めるとしています。そして、優良な事業主の特例認定制度が創設されるようです。

 

  • 2)ハラスメント対策の強化

国はハラスメント対策に取り組むことを法律に明記されます。

パワーハラスメントについては、これまで法律に定義されていませんでしたが、労働施策総合推進法の中で、「職場において行われる優位的な関係を背景とした言動であって、業務上かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されるもの」とし、また、それを防止する雇用管理の措置を行うとしています。

 

 事業主に義務付けられるのは、他の労働者に対する言動に必要な注意を払う研修を行うなどの配慮です。そして事業主や役員は、自らがパワハラ問題に関心を深めて労働者に対する言動に注を払うように努めなければならないとしています。

 

改正法案が可決されると、研修の実施や相談窓口を社内外に設置することなど、実施することが具体的に示されてくると思われますので、今後の動きに注目が必要です。

 

すでに大企業では、相談窓口の設置に関しては、社内に専門のスタッフを配置するか、または外部の機関に相談機能を委託するなどほぼ体制は整っていると思います。

一方で、中小企業が社内に相談機能を置いた場合、経営者や人事部門からの独立性が保つことが困難な場合が想定され、従業員から相談が持ち込まれないことがあります。では、外部に委託する方法があるわけですが、そうすると相応の費用がかかることから対応が遅れています。

 

そうした現状等に配慮して、中小企業のパワハラ防止のための雇用管理措置は、公布日から起算して3年を超えない範囲で政令が定める日までは努力義務になるようです。

厚生労働省が国会に提案した概要は、厚生労働省のホームページに掲載されています。

https://www.mhlw.go.jp/content/000486033.pdf