妊娠中と育児休業後の不利益変更 マタハラ裁判

医療介護施設で理学療法士として勤務していたAさんが、

妊娠を機に経緯な業務に転換を希望した際に副主任をとかれ、育児休業後職場に復帰した後にも副主任に復帰しないままであったことについて、

均等法第9条3項(*後述:婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等)に違法で無効なものとして、管理職手当の支払い及び債務不履行または違法行為に基づく損害賠償を求めた裁判で、最高裁は広島高等裁判所へ差し戻しを決めました。

降格について、事業者の組織運営上の理由を認めた内容になっていたものが、いったん差し戻された格好になりました。

最高裁判決文の中には、Aさんの職場復帰が予定されていたけれども、妊娠中の経緯な業務に転換したときに副主任をといたときから、産前産後と育児中に休んで復帰しても、副主任に復帰させないことを予定していたと取られても仕方がないと言及しています。

今回の判決文には、不利益な処遇をされたかどうかの判断について、こうした問題は、本人の仕事の内容、組織や業務態勢、人員配置、労働者の知識経験等を総合的に考えて判断するものだと解される。と言われました。昨日の報道では、ほとんどこの部分が伝わっていないように思います。

今後、この裁判について解説を書くであろう人々がこのところをきちんと伝えてくれることを希望しています。

そして、同じような事例がある組織では、妊娠や出産や育児休業をした労働者について、本人の仕事の内容、組織や業務態勢、人員配置、労働者の知識経験等を総合的に考えて不利益な処遇をしない判断することが求められてきます。そして、降格処遇については、本人にきちんと説明し本人の自由な意思による承諾が必要と考えるのが妥当です。

判決内容は、最高裁ホームページに掲載されています。

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*均等法第9条3項
(婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等)
第九条  事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定する定めをしてはならない。
2 事業主は、女性労働者が婚姻したことを理由として、解雇してはならない。
3 事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法 (昭和二十二年法律第四十九号)第六十五条第一項 の規定による休業を請求し、又は同項 若しくは同条第二項 の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
4 妊娠中の女性労働者及び出産後一年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする。ただし、事業主が当該解雇が前項に規定する事由を理由とする解雇でないことを証明したときは、この限りでない。